口呼吸と鼻呼吸について
前述したように口腔筋機能の不整は“口を閉じる”という事にも関係してきます。本来、ヒトという生き物は進化の過程において鼻で呼吸するように出来ています。ヒトは鼻呼吸をする事により高次元な発音を獲得し言語を多様化できたと言われます。これこそが地球上において人類が繁栄できた最大の理由でもあります。
通常、口が半開きの状態だと舌は下あごの内側に収まります。これでは本来位置すべき上あごの内側に舌は収まりません。舌による圧力で形成されるはずの上あごは、正しい力が加わらない事で綺麗なアーチを維持する事ができず、歯列不正となります。その上顎に誘導されるように下あごの歯列も並ばなくなります。
口をポカンと開いたまま鼻で呼吸する事は出来ません。つまり、正しい位置に舌を置くためには鼻呼吸が必要であり、鼻呼吸をするためには口腔周囲筋の正常なバランスの獲得が必要となるのです。
また鼻にはフィルターがあり、外から入ってくる最近やウイルスの侵入を防ぐ役目もしています。鼻呼吸はアレルギーを改善し、細菌感染による上咽頭炎や感染性疾患の予防、免疫力の向上や慢性感染病巣に対して大きく影響する事が言われています。 鼻で大きく息をすると胸の上部が膨らみます。これは正しく肺を膨らまして酸素を取り入れている証拠です。一方、口呼吸の場合はお腹が膨らみます。一般的に口呼吸ではお腹を膨らませて酸素を取り入れるため呼吸前に背中を丸めてしまう傾向つまり“猫背”も指摘されます。
赤い矢印:正しい力の方向
青い矢印:誤った力の方向
顎の位置不正による顔貌の変化
サマンサとケリー
下図は双子の姉妹サマンサとケリーです。
成長前に比べ成長後は二人の顔貌に違いが見られます。遺伝子的な違いは個々で多少ある事は当然ですが、彼女たちの顔貌の差は子どもの時に「口を開けていたか閉じていたか」の違いによる事が大きかったそうです。
参考資料:鈴木設矢著「床矯正・矯正治療の手引き」(床矯正研究会編集・発行)大塚淳著「プレオルソ」こども歯ならび矯正法(ベーシックコースシラバス)
口腔筋機能トレーナーの使用法および注意
使用方法
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お家にいる間は宿題やテレビ、読書などしながらで結構です。出来るだけ長時間装置を使用して下さい。(最低1時間以上) これは夜間装着ができるようになる為に必要不可欠な装着です。 装着中の会話はOKです。それ以外は必ずお口を閉じて鼻呼吸で使用して下さい。
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就寝時(就寝から起床まで)テープを貼って使用して下さい。 呼吸が心配な場合は就寝前に15分間テープを使用して様子を見てください。
お手入れ
1日1回流水下で歯ブラシで磨く(中性洗剤はOK・歯磨き粉は使用しないでください)。
消毒は入れ歯洗浄剤など(ハイター使用の場合は5倍に薄め1分間漬ける)。
熱湯は変形しますので使用しないで下さい。
注意事項
- 装置が正しく使用できない場合、治療の効果を得る事は出来ません。
- 頬杖や咬唇癖、爪咬み、鉛筆咬みなどの悪習慣は治療の効果を妨げます。
- 使用前に必ず歯磨きをして下さい。
- 最初の段階で特に前歯にやや痛みを感じる事があります。その場合、使用時間を減らし、痛みがなくなりましたら、通常の使用時間に戻してください。
- 装置が歯茎等に当たり痛い所がありましたら使用を一旦中止しご連絡下さい。
- 歯ぎしりのように横にずらして咬まないようにして下さい。
- 使用中は唾液がたくさん出ます。装置を入れたまま唾液を飲み込む練習をして下さい。
- 装置は来院の際、必ずお持ち下さい。